海の少女と空の少年
神殿内部は照明こそないものの、ガラス張りの天井のおかげで、随分明るかった。
水が差し込む太陽光を受けて煌めいているのだ。
そのせいで神殿は何処か幻想的な雰囲気に包まれていた。
シオンはフードを脱ぐと、部屋の中央にある螺旋階段へと向かった。
神殿内部は吹き抜け構造になっていて、階段を上って行くと最上階にたどり着く。
そこにある、シーエイムの宝―――『海の結晶』を守るのが、シオンの務めだ。
シオンは階段をずっと上まで上って行った。
異変を感じたのは、階段を3分の2程上った時だった。
ふと顔を上げた時、天井のガラスが割れているのに気づいたのだ。
(…まさか、侵入者が?)
シオンの胸がトクン…と鳴った。
今まで神殿に誰かが入った事は皆無だ。
シオンは、焦る気持ちを抑えながら、階段を上る足を早めた。