オレの相棒。




渡されたボールを持つと、ずっしりと重さが伝わった。だいたい五キロくらいはあるだろう。

「これを持って、腹筋やら何でもいいからひたすら筋トレをしろ。」


そう言い残して去っていった。

一人残されたオレは、ボールを持って腹筋をし始める。



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どれくらい経っただろう。辺りは暗くなって、誰の気配も感じなくなった。


筋トレ用のボールを持ったまま立ち上がりグランドの中心を見ると、二つの影が見えていた。


すぐに監督と神風だとわかった。


周りには、白いユニフォームを泥まみれに汚した野球部員が倒れている。



「神風ー!!行くぞっ!!!」


「うっし。…来い!!!!」



肩で息をしながらも、ノックを受けている神風の姿をじっと見ていた。

監督の打ったボールは、二塁ベースの左横を通過した。神風は立っていたショートのポジションから重い足を引きずり、ボールを取りに行こうとする。


---ザザザッ

砂埃をたて、滑り込んだ。









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