オレの相棒。
監督の「ナイスキャッチ」を聞いて、神風は取れたのだと理解した。
そしてバットを持ったままオレに近寄ってきて、「夕飯二時間後な」と言って宿舎へ戻っていった。
二時間したら、みんな起きるのか?
グランドに倒れている部員の顔は、疲れ果てていた。表情を見ただけでどんな練習をしていたのかわかる。
「生きてるか?」
オレはグランドの中心部、二塁ベース上に倒れている神風の元で声をかけた。
「なんとか~。…ははは。」
「他の奴らは?」
「三時頃からひたすらダッシュでさ、その後すぐノック。みんな次々にダウンしたよ。残ったのは俺だけ。」
「情けねえ奴ら…。」
神風に負けるようじゃあレギュラーも取れないだろうな…
「でも、多分永谷でもリタイヤしてたんじゃないかな…」
「お前…まだオレの実力わかってねーのかよ。」
正直、見損なった。いろんな事がある度に、いつも一緒にいた神風。…まだオレの凄さ、認めてなかったのか?