オレの相棒。




だから別に、--かまわない。


「嫌いだっていい。信用しなくていい。…お前はオレの球を捕ってくれさえすればどうでもいい。」


「…西条に受けてもらえばいいだろ。……男に受けて貰えば?」



「だからオレは…」

「九月にさ、アメリカで女子野球の合宿があるらしいんだわ。…それに参加するつもりだから。永谷の球、捕れない。」


オレの言葉を遮ったくせに、なんだよそれ…。

また女子野球に戻るのかよ……


気がつくと、オレは咄嗟的に神風の胸ぐらを掴んでいた。

「ふ…、ふざけんなよ!!また逃げんのかよ…」


「何とでも言え。…じゃあ、な。」



オレに背を向け、神風は去っていった。


また、言えなかった…。

神風が必要だ、と。お前に球を受けてもらいたい、と。


なんで直接言わねえんだよ、オレは…



…今度は戻ってこねえかもな神風。


オレは大切なモノを失った……。








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