オレの相棒。
ツーストライクワンボール。
…追い込んだ。
次の悠弥からのサインは、真ん中やや高めのストレート。
前に結城苓那にホームランを打たれたコースだ。あのホームランがフラッシュバックしてくる。
また…打たれるのか?
助けを求めるかのように、再び悠弥の方を見た。
悠弥が口をパクパクさせながら何か言っている。
「だ……い、じょ……ぶ?」
確かに、大丈夫と言った。
あいつには何でもお見通しって事か。
…どうにでもなれ。
ふっと空を見上げ、スパイクで足場を作り、自分の世界に入る。
片足を高々と上げ、重心を前にぐっと寄せる。全体重を球に込め、指先からボールは離れた。
---ビュッ、バシ
結城苓那のバットは音を立てて、空を切った。オレが投げたボールは、悠弥のミットにしっかり入っている。
「ストライクバッターアウト。チェンジ」
監督の声が鳴り響いた。