オレの相棒。
「なあ、悠弥」
「ん?」
「お前の父親って、どんな奴?」
帰り道にさり気なく聞いてみた。
「…なんで?」
一瞬、表情を曇らせた。
「お前の父親って、野球連盟の……」
「お父さん……」
オレの言葉は遮られ、悠弥は下を向いた。後ろを振り返ると、そこには見知らぬ男がいた。
今、お父さんって…
「悠弥、か」
「なんでここに?」
「仕事でたまたまな。そこに居るのは誰だ?」
不審な目が向けられる。
「永谷東。野球部の仲間だよ」
「女子野球からは逃げて、くだらん野球部か。悠弥らしいな」
「…お父さんには関係ないから。東、行こう」
悠弥は目を合わせずに、ただひたすら歩き続けていた。