オレの相棒。




しばらく歩き続けた後、突然立ち止まりオレに笑顔を向ける。

「なんか、ごめん」

「お前の父親って、野球連盟の偉い奴なんだってな。」


「まあ、ね。実力だけはあるから。甲子園優勝春夏合わせて五回経験してる人」

五回ってことは、高一の夏からずっと出てるってことだよな?


「その五回とも優勝。高一の夏は背番号10で。その後はエースとしてチームを優勝に導き、プロに入った選手。」

まるで何かの記事を読んでいるかのように、悠弥は淡々と語った。


「そんなに凄い人なら、普通野球するのに反対しねーよな。」

「ほんとは男の子として生まれてきてほしかったんだよ、あの人は。でも俺は女だった。それが気に食わないんだ」


「だから、女子野球だったのか」

悠弥の本音を聞こえた気がする。


本当は、ずっとずっと野球をやりたかったんだ。…性別関係なしに。

でも、女だから…仕方なく女子野球をやってたんだ。






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