オレの相棒。
「監督、俺の代わりにレフト入れてもらえませんか?俺、もう無理っぽいっす」
攻撃を終え、守備につこうとした時、監督に直訴している悠弥の声がベンチ内に聞こえた。
「あと二回、行けないか?」
「チームに迷惑かけるわけにはいきません。交代させてください」
「わかった。レフトに小野、入れ」
悠弥の交代にベンチがざわつく。みんな悠弥が怪我してたなんて、知らなかったんだ。
その怪我で、さっきタイムリーヒットを打ったんだって、気付かされた。
「東」
ベンチを出る時に悠弥に呼び止められた。
「なんだよ」
「俺、信じてるから。東と一緒に甲子園行けるって、信じてるからな」
「…任せろ」
前に監督に言われた言葉を思い出した。
"神風の運命と苓那の思いが、お前のピッチングにかかってるんだ。あと、嶺北高校の甲子園行きもな。"
その悠弥の運命が…あとアウト六つで変わるんだ。