オレの相棒。
貸してもらったミットは、手入れがキチンとされていて柔らかかった。
多賀さんが手入れをしている姿が想像できる。
「これ、多賀さんのですか?」
「ああ。汚くてごめんな。」
「いや…そうじゃなくて…、多賀さんのポジション、キャッチャーなんじゃ…」
きっとこのミットで、いろんな人の球を何千球、何万球も捕ってきたんだと思う。
そんな人のミットを借りるなんて…。
「俺、肩怪我してて今キャッチャーできないんだわ。だから貸してやるよ。汚いけど、捕り心地はいいから」
その言葉を聞いて、思わずミットに視線を移してしまった。
俺のミットは多賀さんのみたいにキレイじゃない……。