オレの相棒。
「悠弥先輩…?」
この声は…大和くん…?
夜10時を過ぎているのに、こんなとこで誰かに会うと思わなかった。
「こんな時間にどしたの?」
「それは俺のセリフっす。どっかで練習してたんですか?」
練習着の俺を見て、そう思ったんだろう。
こうなったら言うしかない…。
「大和くん、…東は?」
「家に居ます。気になりますか、兄貴のこと」
「…誰にも言ってないこと、大和くんにだけは言っておこうと思って」
「誰にも言ってないこと?」
「そ。俺、今まで練習終わってから毎日、ずっとある大学で練習してたんだ。怪我の影響でね、上手く野球出来なくなっちゃって」
笑って言ってみたものの、頬が引きつっているのがわかった。
「そんな…俺は気付かなかったっすよ。前と同じだと思ってました」
「タイムがさ、前より三秒遅くなったんだ。いくら筋トレしても、戻らなくて。」
「たった…三秒ですか?悠弥先輩より遅い人なんてたくさん居ますよ」