オレの相棒。
「賭けに負けたんだ。お前が戻ってきてくれないとオレが困る」
「おれを賭けの対象にしてたのかよ。その上負けたから戻ってこいって…、相変わらず勝手なやつ。」
「…じゃあどうすればいい?」
「『神風が必要だって』って言ってくれたら戻ってやってもいいよ。」
そんなこと出来るわけない…。オレ自身のプライドが許さない。
「そんなこと…」
言い返そうとした時、再び部室のドアが開いた。
練習、終わったのか?
そう思い自然に目をやると、そこに立っているのは…結城苓那だった。
「久しぶり、悠弥」
「れ…苓那さん、なんで?」
"悠弥"と"苓那さん"と呼び合っているのを見ると、顔見知りのようだった。
「教育実習で来てるの。まさか悠弥がこの学校に来てるなんてね」
それから二人の会話を聞いていると、少し理解出来た気がした。
神風が野球を始めた理由、それは結城苓那にあったんだ…。