フロックス
普通の友達
「失礼します、」
そう、分かっていたことなんだ…これは全部。
私がわかろうとしていなかっただけ……。
「東郷様っ!!お待ちしておりました。こちらへどうぞ。」
たぶん、校長先生だろう方が私をソファーに誘導した。
「あの…私……」
「東郷様の…莱輝様のご婚約者様だと伺ってます。莱輝様はご卒業後も何かとご贔屓して頂いてまして、大変感謝しております。」
「………はい。」
「今回は、ご婚約者様が転校していらっしゃると伺い、教員全員でお待ちしておりました。」
「はい…」
それから、数分に渡り、校長先生は……感謝している、だの…莱輝さんは優秀だった……だのそんなことをずっと話し続けていた。
私なんてどうでもいいんだ。
ただ……東郷に恩を売りたい………東郷と何かで……繋がっていたい。
それだけ…………
私は……校長先生と裏腹に、すごく沈んだ気持ちになってしまった…