フロックス



「そりゃあ、そうだよな。だって君は二日前に…東郷に嫁に来るって決まった女の子だからね。深いところまで知らないか。」



どうして?


どうして…そんなこと知ってるの?



「……………」


怖い……さっきと違う雰囲気を纏った…律輝君が…怖い。



律輝君が私に伸ばした手を、私は…無意識に……怖くて…振り払ってしまった。



「っ、ごめっ…」



「………先生に、君が不安がってる…って言われてさ。ちょっと聞いたんだよ、君の事情を…」


「え?」


「怖がらせてごめんね、東郷と東條はただ取り引き関係なだけだよ?」


「…あ、手、ごめんなさいっ!!」


心配しただけ?



「いいよ、じゃあ、そろそろ教室に戻ろうか?」



「うん。」



…少し気まずい雰囲気の中…私と律輝君は教室に戻った。




< 83 / 105 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop