フロックス
「そりゃあ、そうだよな。だって君は二日前に…東郷に嫁に来るって決まった女の子だからね。深いところまで知らないか。」
どうして?
どうして…そんなこと知ってるの?
「……………」
怖い……さっきと違う雰囲気を纏った…律輝君が…怖い。
律輝君が私に伸ばした手を、私は…無意識に……怖くて…振り払ってしまった。
「っ、ごめっ…」
「………先生に、君が不安がってる…って言われてさ。ちょっと聞いたんだよ、君の事情を…」
「え?」
「怖がらせてごめんね、東郷と東條はただ取り引き関係なだけだよ?」
「…あ、手、ごめんなさいっ!!」
心配しただけ?
「いいよ、じゃあ、そろそろ教室に戻ろうか?」
「うん。」
…少し気まずい雰囲気の中…私と律輝君は教室に戻った。