フロックス



「私を…どうして…連れてきたんですか?」


「…は?」


「私なんか…本当にお嫁さんにするつもりなんですか?」


「にちか、どうした?」


「っ…私は……ここにいていいんですか?」


「どうした?帰りたくなったか?ホームシックか?」


「私、わからないです。」


「……………」


「わからないっ…」


なに、言ってるんだろ?


こんなこと莱輝さんに言ったって意味ないし、困らせる。


なのにー



「大丈夫だよ。お前を嫁とかは、ただの気まぐれって言っただろ?連れてきたのは…室井を会社に戻すためのもっともな理由がいるからだ。」


「……………」


「お前を縛るつもりも、東郷に入れるつもりもないから…だから、お前は平凡な恋愛をしろ。」


「……………はい」


「家族と合わせないのは、室井が負い目を感じないようにだ。我慢しろ、」


「はい…」



涙が溢れてきた…だけど…だけど……泣き顔を見せたくなかった。


「おやすみ」


「はい…」



莱輝さんが出て行ったのを確認すると、私は泣いた…泣くしか出来なかった。



私……本当に……こんなのでいいの?



それしか、頭には浮かばなかった。




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