フロックス
「にちか…お前は、婚約者なんだ。もっと自信をもて…な?」
「……………」
自信なんかナイに決まってる。私が東郷の家にいていいのかさえわからないのに…
「そんな顔するな。世の女性、皆が羨む東郷の婚約者なんだよ。わかったか?私が1番幸せなんだって顔をしなくちゃ…な?」
「はい…」
幸せな顔…なんか出来ない。不安しかない。
いつ捨てられてもおかしくない私…そんな私が…幸せな顔?
そんな…
「にちか!」
「あっ、莱輝さん…」
「お前はこっちだ。婚約指輪を渡しておく…あとは…」
「莱輝さん!」
「なんだ?」
「本当にいいんですか?」
「悪いわけないだろ。」
莱輝さんは、それだけ言うと…隣の部屋に入っていった。
“悪いわけない”…でもいいわけでもないんだよね?