フロックス



綺麗なドレスに着替えて…髪型もアップにした。そして豪華な椅子に座る。



「俺が全て答える。にちかは笑っていればいい。」


「あっ、はい…」


「よし、綺麗だ。」



莱輝さんの笑顔を見て…私は少しだけ安心した。



「始まるぞ。」

「はいっ。」



目の前には、たくさんの人…皆さんお金持ちって感じでー、すごく緊張した。



「ご婚約おめでとうございます!」



司会の人のその一言と共に、いろんな場所からおめでとうございます、という声が聞こえる。



私はそれに笑顔で頷く。それしか出来なかった。



「今日は私共のために御集まり頂きありがとうございます。」



莱輝さんが、今日集まってくださった皆様に挨拶をする。私は隣に立ち、頭を下げるしか出来ない。


「私は妻…にちかが二十歳を迎える日に入籍しようと思ってます。彼女はまだ高校生で東郷の家に来たばかりなので、皆様お手柔らかにお願いします。」


「お願いします。」



それからは、ずっと話し掛けられたりした。婚約指輪を見せたり、莱輝さんの隣で笑っているだけ…



それだけだった。




< 99 / 105 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop