フロックス
綺麗なドレスに着替えて…髪型もアップにした。そして豪華な椅子に座る。
「俺が全て答える。にちかは笑っていればいい。」
「あっ、はい…」
「よし、綺麗だ。」
莱輝さんの笑顔を見て…私は少しだけ安心した。
「始まるぞ。」
「はいっ。」
目の前には、たくさんの人…皆さんお金持ちって感じでー、すごく緊張した。
「ご婚約おめでとうございます!」
司会の人のその一言と共に、いろんな場所からおめでとうございます、という声が聞こえる。
私はそれに笑顔で頷く。それしか出来なかった。
「今日は私共のために御集まり頂きありがとうございます。」
莱輝さんが、今日集まってくださった皆様に挨拶をする。私は隣に立ち、頭を下げるしか出来ない。
「私は妻…にちかが二十歳を迎える日に入籍しようと思ってます。彼女はまだ高校生で東郷の家に来たばかりなので、皆様お手柔らかにお願いします。」
「お願いします。」
それからは、ずっと話し掛けられたりした。婚約指輪を見せたり、莱輝さんの隣で笑っているだけ…
それだけだった。