好きになった方が負け
「あのっ、何て呼んだらいいですか?」


「俺?別に何でもいいよ。さん付けでも、くん付けでも…適当に呼んでくれれば」


うーん。

じゃあ……


「龍くんでもいいですか?」


少しでも近付きたくて、呼びやすいものを選んだ。


「ははっ。OK!!何か笑美っぽい」


そう言われて、うれしくなった。

こうやって少しずつ、あたしを知ってもらえたらいいな。




「家ここです。ありがとうございました」


「まじですぐ裏じゃん!!」


いつもは便利だと思ってた家に近いスーパーだけど。

今日だけは、もっと遠ければよかったなと思った。


そしたらもう少し、一緒にいれたのに。

そんなあたしに気付いたのか、去り際に一言。


「いつでも連絡して。おやすみ」


ポンッて頭に手を置いた龍くん。


「お、おやすみなさい…」
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