好きになった方が負け
「調子にのんな、バーカ」


コツンと頭を小突かれて、あたしの頬が緩んだ。

そりゃ調子にものるって。


「♪♪♪♪」


そんなとき突然、あたしの携帯が鳴った。


……え?

このタイミングで…何で?


でも慶太に隠すのも、後ろめたいことがあると思われそうだし……


「……龍くんから電話なんだけど…今出てもいい?」


あたしは正直に伝えた。


「は?え!?まだ連絡とってたのか?」


「ううん。夏休み前に偶然会ってちょっと話したけど、連絡なんかとってない。急にどうしたんだろ?」


龍くんはきっと特に何も考えてないと思うし、あたしもなるべく平静を保つ。


「……出れば?」


慶太の表情が少し曇ったのが分かったけど、慶太の前で話すことによって、本当に何もないことを伝えたかった。

それにあたしはもう、龍くんのことは諦めるって決めたし。
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