好きになった方が負け
「もしもし…?」


『笑美?今何してた?』


この声聞くとまだドキドキするのに、なぜか安心する。


「今、慶太と一緒だよ」


『まじで?タイミング悪かったな。邪魔した?』


はぁー…。

分かってるんだけどな。

もう少し嫉妬してくれてもいいじゃん。


「ううん。何か用事だった?」


『いや、暇だし、ドライブにでも誘おうかと思ったんだけど…ほら、前行ったとこ』


「行きたいっ…あ、でも…」


つい反射的に答えてしまったけど、それは慶太に悪いって気付いた。

あの場所は好きだけど、二人きりはダメだよね…。


そんなあたしの気持ちに気付いてくれたのか、思いがけない提案を龍くんはしてきた。


『……慶太も誘えば?』


「え?」


『俺は別にいいけど。慶太に聞いてみて』
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