好きになった方が負け
「急に誘って悪かったな。俺、邪魔した?」


「そんなこと…っ」


否定しようとしたあたしの声に被せて、慶太が口を開いた。


「本当超いい感じだったのに、タイミング悪過ぎっすよ」


えぇ!?

一緒に帰ってただけだよね?

何でわざわざ意味深な感じに言うの!?


「ははは!!まじかー。でも、笑美に会いたくなったんだから仕方ねぇだろ?」


まるで悪びれた様子もなく、簡単に笑い飛ばした龍くん。

……って!!今何て!?


「俺の方なんか、今日は笑美から会いにきたんすよ」


慶太笑ってるけど、目が全然笑ってない!!

しかも、恥ずかしいこと言わないでよ!!


「ふーん。けどこれから行くとこは、前にも笑美と二人で行ったんだ」


「へー。年取ってると便利っすよね。車が運転できて」


「まぁガキには無理だよなー。はははっ」
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