好きになった方が負け
俺にとっての笑美?


妹みたいっつっても、実際は友達なはず。

最初に笑美が、友達になって欲しいって言ってきたわけだし。


……うん、何も間違えてねぇよな。


なのに何でこんなに気持ち悪いんだろう。


「龍くーん!!星見ないのー?」


少し離れた場所から、笑美が俺を呼ぶ。


「ここにきたらよく見えるよっ」


笑美はもちろん俺の今の気持ちなんか知らないわけで、大きく手を振って笑ってる。


「今行く」


コロコロと変わる表情。

その澄んだ瞳には何が写ってる?


俺も同じ景色を見たいな。


あっ……

きっとそれが、今日笑美を誘った理由。


まだ俺自身すら気付いてない気持ちだったけど、ハッキリと自覚するまで……

もう時間はかからない。
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