好きになった方が負け
「さ、そろそろ帰るかー」
どれくらいか三人で話してたけど、龍くんの一言で渋々車に乗り込んだ。
楽しかったな、またきたいな。
行きと同じ道を通って帰る車。
後ろからだと、龍くんの運転してる姿がよく見える。
ガッシリとした肩から伸びた右手で、ハンドルをカッコよく操ってる。
ブレーキも滑らかで、運転にも慣れてるんだろうな。
車の運転ってその人の性格が出るって言うけど、本当にその通りで、すごく優しい運転。
「はい、慶太ん家到着!!」
まず近い慶太の家の前に車が止まる。
「笑美をちゃんと送ってくださいよ」
少しだけ機嫌悪そうに慶太が言うと、龍くんは笑って言い返す。
「ははは!!当然、真っ直ぐ送るから安心しろっ」