好きになった方が負け
自分からキスして欲しいなんて、滅多に言わないから緊張で手が震える。

暗いから分かりにくいかもだけど、顔も真っ赤だし…胸も痛いよ。


慶太があたしの肩に触れて、一気に顔が近くなる。

その瞬間あたしは、そっと目を閉じた。


チュッ


「信じてくれる…?慶太以外の人と、キスなんかしてない」


これは嘘なんかじゃないから、ちゃんと目を見て断言する。


「……じゃあさ、その証拠に笑美からキスして…熱いやつ」


「え!?」


意地悪な声で、ニヤッと笑って言う慶太。


「してくれたら信じる」


ドキッ


キスはいつも慶太からで、あたしは慶太に合わせてただけなのに…。

さっきよりもっと緊張してきた。


ドキドキ


そっと慶太の頬に手を添える。

嫌味なぐらいに整ってる顔に、ゆっくり近付いて行く。
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