好きになった方が負け
唇を合わせて、慶太のキスを真似てみる。


熱いやつって慶太は言ったけど、そんなのどうしていいか分かんない。

ぎこちなく、でも一生懸命にキスをする。


「下手くそ」


一瞬の隙をついて、慶太があたしに文句を言った。


「だ、だって…!!」


悔しくて、恥ずかしくて、何か言い返そうと思うんだけど、言葉が見付からない。


「俺が今までお前にしたキス、覚えてねぇの?それともまさか焦らしてんの?」


カーッ


「じ、焦らしてるわけないじゃん!!」


そんな高等技術、あたしが持ってるわけないでしょ!!

信じらんない!!慶太のバカ!!


「……まぁでも、俺を求めてくれてるのは伝わった」


「え?」


「仕方ねーから教えてやるよ。笑美みたいなバカは、体で覚えるしかないんだから」
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