好きになった方が負け
「んっ」


いきなり入ってきた慶太の熱い舌。

あっという間にあたしの舌に絡み付く。

そして甘く優しく動く。


同じキスなはずなのに、あたしのキスとは全く違う。


体の芯が熱くなるのを感じるの。


ゆっくりと唇が離れると、あたしの肩に顔を埋めた慶太。


「ヤーベ…抱きたい」


「……っ!?」


突然の発言にあたしは声すら出せなくて、体を固めた。


「俺はお前から離れない。だから笑美もずっと俺の側にいて」


いつになく弱気な声は、何かを切なく願っているようだった…。


「笑美、好きだよ」


最後に軽くキスをすると、立ち上がった慶太。


「送る」


あたしを見ることなく呟き、あたしが立ったのを感じると、ゆっくり歩き始めた。
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