好きになった方が負け
「ふぅー…」


一つ深呼吸して、通話ボタンを押す。


呼び出し音にドキドキが増していく。


『もしもーし?笑美?』


「あ、うん!!今大丈夫?」


電話って、当たり前だけど声が耳元で聞こえるから緊張も高まる。


『おー、どした?笑美からの連絡超待ってたぞー』


冗談っぽく龍くんが笑うから、少し安心した。

前、一方的にキレちゃったけど、怒ってないのかな…?


「あのね…実は…あ、無理ならいいんだけどね?」


前置きをしてから、今の状況を説明した。


「だ、だから…暇だったら…一緒に行ってくれない?」


きっと、勇気を出すってこういうこと。

手汗ヤバいし、声も震える。
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