好きになった方が負け
何も頭には入ってこないけど、雑誌をパラパラめくって待つ。


あたし、変じゃないかな?

緊張し過ぎておかしくなりそう。


コンコン


目の前のガラスを叩く音がして顔を上げると、ニッて笑ってる龍くんがいた。


あたしはすぐに雑誌を戻して、外に飛び出す。


「急にごめんね!!」


「全然。じゃあ行く?」


そう言って歩き始めた龍くんに、あたしも続く。

浴衣ってやっぱり歩きにくい。


「あー…こういうのあんま慣れてないから、照れるんだけど…」


ん?って聞き返すと、チラッとあたしを見て言ってくれたの。


「浴衣似合ってる」


カーッ!!


顔が真っ赤になるのが自分でも分かって、一気に脈が早くなる。
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