好きになった方が負け
「あ、ありがとっ」


その言葉だけで、暑さも苦しさも全部全部吹っ飛んだ。

やっぱり龍くんは魔法使いなのかもしれない。


「きっとまた慶太が悔しがるな。ははっ」


「龍くんは今日予定なかったの?」


「うーん…誘われたりもしたけど、断ったから」


え!?女の人…?

断ったって聞いても、やっぱりいい気はしない。


「り、龍くんカッコイイからモテそうだしねー」


「全然。俺、昔っから本命にはフラれるタイプだし」


朋さんのことなんだろうけど、なんか、その言い方って…今もって感じだよね。

まだ好きなんだ…?


「じゃあさ!!龍くんのタイプってどんな人なの?」


せめて少しでも近付けるように、そんな質問してみた。

……この後すぐ、後悔することになるんだけど。
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