好きになった方が負け
「冷た…」


口に入れると、ヒンヤリした感触と甘い味がした。


龍くんはあたしのことを何とも思ってないんだって思えば思う程、あたしの気持ちが大きいことに気付く。


「あれ…?龍くん?」


一瞬の間に龍くんの姿が見えなくなってた。

考え事なんかしてるからだ。


この人込みの中、龍くんを見付けられる確率は0%に近い…。


神様なんて、いないのかな。


とりあえず、この人込みを抜けよう!!

こんなとこにいたんじゃ、見付けられるわけないし。


左手にかき氷を握りしめて、グイグイ歩いた。


仲良さそうなカップルの横を通り過ぎると、なんだかすごく切なくなった。

あたし、何してんだろう…。


けど、そのとき。


ガシッ
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