好きになった方が負け
「……その好きな人に、好きな人がいたらどうする?」


あたしが真剣に聞くと、一瞬驚いた表情を見せた後、龍くんは力無く微笑んだ。


「何?その質問。これってさ、笑美の話だよな?」


龍くんこそ何言ってんの?

当たり前でしょ?


あたしはコクリと頷いた。


「だよな。慶太に他に好きな奴いるとは思えないけど」


不思議そうな顔をしたまま、あたしから目を反らした。


「俺は朋のことがあったから、今は…好きな人の幸せを見守りたいって思う」


見守るだけ…?


「結局さ、恋愛は好きになった方が負けなんだよ。俺は空回りしてばっかだから、もう自分でどうにかしようとは考えない」


そしてその後、相手が幸せなら俺は友達でいいって呟いた。


龍くんの気持ちもすごく分かるけど、本当にそれでいいのかな?

諦めるしか選択肢はないの…?
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