好きになった方が負け
龍くんの足に抱き着く小さな女の子。


パパ…?


「り、龍くんっ!?」


「や、違うって。笑美、落ち着け」


実は子持ちだったの!?って気持ちが、あたしの顔に書いてたのか、すぐに龍くんが否定する。


じゃあ、その子は誰!!


黙って見てると、女の子は手を離して龍くんを見上げた。


「パパ…違う?…ヒック、ヒック」


泣き出してしまった女の子を見て、慌ててしゃがみ込む龍くん。


「どーした?パパとはぐれちゃったのか?」


「うわーん!!パパー!!」


頷きながら、大号泣の女の子。


なるほど。

この人込みのせいで、はぐれちゃったんだ。


それは心細いよね…。

さっきまでの自分と重ねてしまう。
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