好きになった方が負け
あたしにもニコッと微笑んで歩き始めた龍くん。


ドンッ!!


その間も花火は綺麗に打ち上げられている。


「お兄ちゃん見て!!今度はピンクだあっ」


「おー!!綺麗だなー。由宇ちゃんはピンクが好きなの?」


「そうだよ!!だからね、苺飴もピンクのにしたのっ」


小さい子って何でこんなにかわいいんだろ!!

見てるだけでニヤけちゃうよ。


「お兄ちゃんは何色が好き?」


「俺?んー…そうだなあ、黒とか紺色かな」


「紺色?それってどんな色ー?」


ギュッ


それまでほとんど見てるだけだったあたしの手を、急に龍くんが握った。


「こんな色」


そう言って、あたしの浴衣を由宇ちゃんに見せた。
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