好きになった方が負け
六時、十分前。
今日は暑いし、ワンピース姿で龍くんを待つ。
あー…超ドキドキする!!
「♪♪♪♪」
き、きた…!!
軽く深呼吸して、通話ボタンを押す。
「もしもし?」
『スーパーに着いたけど、今どこにいる?』
ちょっと低い龍くんの声。
緊張が増す。
「スーパーの中にいるんで、すぐ行きます!!」
『ん。昨日車停めてたとこだから』
電話を切って、早足で外に出る。
昨日みたいに、黒い車の横に立っている男の人がいた。
うれしくなって、小走りで近付く。
「龍くん!!」
「……ぶっ。笑美かわいいなあ。犬みたい。そんなに腹減ったのか?」
龍くんに笑われて、急に恥ずかしくなった。