好きになった方が負け
「……あー!!緊張したっ」


電話を切ると、一気に息を吐いた。

この勢いがなかったら、言えなかったかも…。


「あはは!!笑美が必死なんて珍しいね。よくがんばったじゃん」


加奈子に誉められると、こそばいけど何だかうれしい。


「ねー、加奈子?」


「ん?何?」


「”好きになった方が負け”って本当だと思う?」


あからさまに、頭の上にハテナマークを浮かべた加奈子。

それでも構うことなく言葉を続けた。


「龍くんも慶太もそう言ってたの。加奈子はどう考える?」


視線をあたしからずらして考える加奈子をじっと見つめた。

どんな答えが返ってくるのか、楽しみなような、不安なような…。


「そうだねー、確かにそうかも。例えば…あくまで例えばだけどね?あたしだったら、好きな人に恋人ができても笑って喜べるよ」
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