好きになった方が負け
「本当は笑美だって目指したいとこがあるんじゃねーの?」


「え…?何で?」


小学校の先生になりたいだなんて、加奈子にも言ったことない。


「さあ?何となくだけど、今から諦める必要はないじゃん?」


龍くんにだって全部バレてるとは思えないけど、あたしの心の奥に何かあることは気付いてる?

……こんなときだけ敏感なんだから。


「あ、俺また説教くさい?」


そう言って、優しい笑顔をあたしに向ける。


そうだよね…。

龍くんのことは諦めないって決めたのに、夢は簡単に捨てちゃってた。


そんなのおかしいよね。


「とにかく今は勉強しろってことだ!!はい、この話題もう終わりっ」


ん?

結局うまくかわされた気がする…。
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