好きになった方が負け
半袖から伸びた腕は、男の人っぽいゴツゴツした手。

ハンドルを回す姿に、大人の人だと感じる。


横顔も整ってて、綺麗な鼻筋と首のラインにときめく。


あたし今、すごい人の隣にいるのかも。


「何?運転そんな珍しい?」


バチッと目が合って、ドキドキが増した。

龍くんを見つめてたなんて言えない!!


「お、大人だなーと思って」


当たり障りのない言葉を一瞬で判断した。


「ん?高校生じゃ基本免許取れないもんな。そりゃ違和感あるか」


「あたしも免許取ったら、龍くん乗せてあげますねっ」


ちょっと図々しいかもしれないけど、冗談っぽくなら何だって言える。


「え!?笑美の運転!?俺死なない?」


「どういう意味ですか!!」


「はははっ!!そのまんまの意味っ」


緊張はするけど、龍くんは話しやすい人。

そういう部分に安心もする。


短いドライブも、あっという間に目的地に着いた。
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