好きになった方が負け
「おー!!よく寝たねー」


教室に戻ると、すぐに加奈子が声をかけてくれた。


「一時間だけのつもりだったのに、起きたら先生いなかった」


「あはは!!仮病だってバレてたんじゃないの?」


だからって放置しなくても…。


「そういえば慶太は?アイツも笑美の後に、サボりに行ったみたいだけど」


「そうなの?寝てたから全然知らない」


気付いたとこで放置だけど。

慶太意味分かんないし。


「って言ってたら、帰ってきたよ慶太」


そう言った加奈子の視線の先に、あたしも目を向けた。


「慶太、どこでサボってたの?」


加奈子が話しかけると、なぜが一瞬あたしを見て……


「ど、どこでもいいだろ!!」


慌てた様子でそれだけ行って、またどこかへ行ってしまった。


「何あれ?」


加奈子と二人、目を合わせて笑った。

変な奴ー。
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