好きになった方が負け
「人多いなー」


海で泳ぐ人、砂浜でビーチバレーしてる人、パラソルの下でかき氷食べる人…流石は日曜って感じ。

そしてギラギラ太陽も、夏をもり立ててる。


「っしゃ、泳ぐか♪」


「ま、待って!!」


海へ向かう龍くんを引き止めて、ガソゴソとバックの中を探るあたし。

えーっと。


「フー!!…フーッ」


「……笑美?まさか、泳げねぇの?」


笑うのを必死に堪えてる龍くんの顔は、かわいそうなぐらい歪んでた。

浮輪を膨らませながら、キッと睨んであたしが言った。


「悪い!?」


こういうのは、負けを認めちゃダメなの。

浮輪は当たり前って雰囲気に持って行かなきゃ!!


「ははは!!いいんじゃないっすか?でも…笑美待ってたら日が暮れる」


笑いながら、あたしの浮輪を取り上げる龍くん。


え…?ちょっ!?
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