好きになった方が負け
おとなしく椅子に座り直す。


「てゆーか、一目惚れのくせに出会った場所笑えるよね!!」


何よ、一目惚れのくせにって。


「うるさいなー!!スーパーで悪かったね!!どうせ庶民的ですよーだ!!」


そう、あの日あたしが出会ったのは近所のスーパー。

色気もムードもないけど!!でも!!

逆にリアルでしょ?


……と、無理矢理前向きに考える。


「あはは!!庶民てっ!!」


じゃないと、この笑い上戸の加奈子に負けてしまう気がするから…。


ふて腐れて、スッと視線を窓の外に移すと……

グラウンドでは、昼休みにサッカーをして目一杯走り回る同級生の姿。


「はぁー…。子供だなー」


今まで付き合った人も年上だったし、正直、タメか年下しかいない今の学校にトキメキはない。


かと言って、ついに社会人にドキドキするとは思わなかった。

顔は一瞬しか見てないけど、絶対年上だよね。


……あたしなんて、相手にされないかな。
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