好きになった方が負け
「い、意味分かんないし!!」


「それから、何か悩んでんなら俺を頼れよ。弱ってるとこに付け込もうとしてるわけじゃねぇけど、ほっとけないんだよ…っ」


何よ、その顔。

今までそんな真剣な表情見たことないよ?


「最近すげぇテンション高いと思ったら、急に落ち込んでたり…俺に心配かけんな!!」


言い方は少し乱暴だけど、慶太の想いが痛い程伝わってくる。

慶太があたしのこと、ちゃんと見てくれてたなんて全然知らなかったよ…。


「あと、俺を避けるのもなしな!!めんどくせーから」


気を遣うなってことでしょ?

慶太もなかなか素直じゃないよね。


「さっきから好き勝手言いたい放題」


ため息をつきながら慶太を見ると、ニッて笑ってこう言った。


「俺が自己中なのはお前がよく知ってんだろ?」


……確かに。

でもさ、そんな得意げに言うことじゃないと思うんだけど。


けど、少しだけ気持ちが楽になったよ。
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