好きになった方が負け
次の日。
「っしゃ!!上がれー!!」
相変わらず子供っぽい同い年の男が、昼休みに必死にボールを追いかけてる。
暑い中がんばるねー。
「あれ…?珍し」
慶太が混ざってサッカーしてるのなんて、随分久しぶりに見た気がする。
昨日の今日だからかな…。
目が勝手に慶太を追ってしまう。
次々に相手をかわし、早いドリブルで攻めて行く。
慶太って意外と器用に何でもできちゃうんだよね…。
「ナイシュー!!」
得点が入ったのに慶太の反応は薄い。
カッコつけちゃって。
バチッ
ドキッ
まるであたしの心の声が聞こえたかのように、教室を見上げた慶太と一瞬目が合った。