好きになった方が負け
ドカッとあたしの前の席に座る。


「だ、だからってあたしに八つ当たりしないでよ」


動揺を隠すように、シャーペンを走らせる。


「……お前、文字だけは綺麗だな」


驚いて顔を上げると、あたしのノートをジッと見てる慶太。


「だ、だけはって何よ!!失礼なっ」


あーもう一々過剰反応する自分が嫌だ…。


でも慶太も悪い!!

今までそんなこと言わなかったくせに。


「サッカー…お前のせいで調子狂った」


「え?」


「俺基本的に何でもできるし、誰にも負ける気しねぇんだけど…笑美にだけは勝てる気がしねぇんだよなー」


近い距離で、真っ直ぐ目を見て言われたからか…胸がうるさい。


口をパクパクさせるあたしを見てクスッと笑い、友達の和の中に消えて行った。


な、何あれ!!

半分は自慢だし…てか、あれ誰!?
< 49 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop