好きになった方が負け
あの日あたしは、お母さんが買い忘れた物を買いに行ったの。

めんどくさがりながら、仕方なく向かったスーパー。


夜七時前のスーパーは、意外とまだ人がいて。

角からいきなり出てきた人を避けることができず、ぶつかってしまった。


ドンッ


驚いて見上げると、背の高い男の人が立っていた。


謝らなきゃ、そう思ったのに声が出ない…っ。


「あ、すみません」


あたしみたいな子供にも丁寧に謝って、ニコッと微笑んでくれた。

その笑顔に一目惚れ。


カッコよ過ぎて動けないあたし。


通り過ぎて行くときには、香水かな?

ほんのり甘い香りがした。


声も顔も態度も…全部全部、どストライクだったの。


ほら、思い出しただけでこんなにドキドキしてる。


ちゃんと恋してる…。
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