好きになった方が負け
「言いたいことなんかないし、もうついてこないで!!」


素直にちょっとお願いすればいいのに…あたしってバカ?

こうなったら、少しでも早く歩かなきゃ!!


「わっ!?」


焦った分だけ空回り。

つまずいて、バランスを失った。


バサバサバサ


「あーあ。期待を裏切らねぇなー、お前」


散らばったノートとは裏腹に、あたしはコケずに済んでる。

しかも耳元では笑い声が聞こえる。


どうやら、慶太に後ろから抱き留められたらしい…。


「何してんだよ?早く拾わねぇと邪魔だろ?」


「あ…う、うん」


先にノートを拾い始めた慶太に、あたしも急いで続く。


「はぁー…。これぐらいさっさと運ぼうぜ」


そう言って歩き始めた慶太の手には、全体の七割ぐらいのノート。

振り返らずにスタスタ歩いて行く。
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