好きになった方が負け
「……そういうこと」


龍くんが苦しそうに笑うのは、今もまだ…朋さんが好きだから?


「ふっ切れたと思ってたんだけどな。ハガキ見て、自分の気持ちに気付いた」


……だからあたしを誘ってくれたんだ?


「朋さんに関わりがないあたしを、今日誘ったんだ?」


「……そうだよ。俺の友達は朋と繋がってる奴多いから」


高校から一緒なんだもんね、友達には相談できないか…。


「でも何で?あたしに話してくれたの?」


前したのはただの口約束。

破ることなんて簡単じゃん。


「……俺もよく分かんねぇけど、昔の朋と重ねてんのかな?」


あたし、龍くんのはけ口として利用されてる?

都合のいい奴?


……でも、それでもどこかうれしいと思ってるあたしがいる。

あたしにだけ、特別ってことでしょ?


けどやっぱり…龍くんに想ってる人がいるなんて、聞きたくなかったかな。
< 63 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop