好きになった方が負け
あたしの視線の先には、女の人を後ろから抱きしめる男の人。

でも女の人は嫌がってる。


とは言っても、変質者とかそんなんじゃなくて…ケンカしてるみたいな感じ。


「おい、笑美。何してんだよ」


あたしの隣に戻ってきた慶太も、同じ方向に目を向けた。


「ん?あれって…」


驚いた慶太は、すぐにあたしの顔を見る。

あたしは黙ってその男女を見つめてた。


「お前の彼氏!?あ、付き合ってはないんだっけ」


そこにいた男の人は、間違いなく龍くんで。

だとしたら、あの女の人は…朋さん?


自分でも驚くぐらい冷静に考えれて、目を離すこともなかった。


「もう決めたの。龍也と話しても変わらないよっ」


「でも…っ……あ…笑美?」


あたしに気付いて、朋さんを離した龍くん。

朋さんもあたしを見た。


ドキッ
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