好きになった方が負け
「龍也の知り合い?」


「え、あ…あぁ」


「……じゃああたし本当に行くから」


そう言い残して去って行く朋さん。

龍くんはその後ろ姿を少し見てたけど、すぐにあたし達の方に向き直った。


「……慶太、行こ」


「え?あ、おいっ」


特に龍くんに話しかける気もしなくて、あたしはその場から離れた。

慶太も驚きながら、あたしの隣に並んだ。


「笑美、いいのかよ!?」


いいって?何が?

あそこであたしに何が言える?

何ができる?


あたしは彼女でもないし、朋さんとの関係も深く知らない。


朋さんが結婚したって変わらないんだ。

龍くんはまだ…朋さんのことが大好きなんだよね?


あたしって最低なバカじゃん。
< 70 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop