好きになった方が負け
「……落ち着いた?」


どのくらい泣いてたんだろう。

賑やかだった公園は静かになり、空は少し暗くなってた。


「ごめん…」


とりあえず、慶太に迷惑をかけてしまったことを謝る。

けど慶太からはすぐに返事はなくて、少し間を置いて口を開いた。


「……そんなにあの人が好き?」


「そうだったんだけどね…もうこんな気持ちは嫌だから」


すぐには諦められなくても、きっと時間が解決してくれる…。


「俺も…悩んでる笑美は見たくない」


「え?…んっ…」


うまく聞き取れなくて、慶太の方を見上げると……

突然、唇を塞がれてしまった。


「け…たっ」


名前を呼ぶために少し口を開けたとき、スッと慶太の舌が入ってきた。


前されたキスとは違って、あたしの舌と絡める深いキス。

荒いのに、どこか優しい…慶太らしいキス。
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