好きになった方が負け
けど……
あたしと慶太の噂が広がるのは予想以上に早くて…昼休み、慶太は女の子達に囲まれてしまってた。
「本当なの!?彼女できたって!!」
トイレを終えて、教室に入ろうとした加奈子とあたしの耳に大きな声が聞こえた。
「笑美、今は入るの止めとこ」
気を遣ってくれた加奈子の言葉を受け入れて、教室には入らず、そのやり取りに耳をすます。
「だから、さっきから言ってんだろ。もう俺行ってい?」
相変わらず適当に流す慶太。
そんな態度とったら、益々怒らせるって分かってるはずなのに…。
「待ってよ!!どうせ遊びでしょ!?」
「本気じゃなかったら、お前なんかに一々説明しねぇよ」
「じ、じゃあ!!どこが好きなの!?本気なら答えられるでしょ!?」
今に殴り掛かってもおかしくないってぐらい、熱くなる女の子達。
止めに行くべきかも…って思って一本前へ出ると、加奈子に腕を捕まれた。
「これから面白いもの見えるよ」