好きになった方が負け
「はい?」


不思議そうな表情だけど、真っ直ぐあたしを見る綺麗な瞳。

薄暗いのに、はっきり見える。


切らした息を必死に整えながら、頭を回転させる。


「あ、あたし!!安田笑美、高校三年生です。あたしと、友達になってください!!」


バカだと笑う?引く?

緊張しながらも、負けたくなくて、目は反らさなかった。


「…………」


相手の沈黙がどれぐらいか分からない。

たぶん短かったんだろうけど、すごくすごく長く感じる。


その沈黙を、ついに破ったとき。


「……俺は大野龍也、25歳。こんなおじさんでよければ」


眩しい笑顔に出会えたんだ。


「おおの…りゅうや…さん?」


あたしはまだ事態が飲み込めなくて、ただ名前を繰り返してた。


え?今?


「いいんですか…?」
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